有理方程式はすべて解けるという,複素数(Complex)は代数的に完全(Complete)(Gauss)。複素数の上では三角関数と指数関数は同じものいう,解析でも完全(Euler)。さて、幾何学でも複素数の活躍だ。


複素数平面,極形式,ド・モアブルの定理,図形への応用とその他の話題(ガウス整数,円分多項式)

§1 複素数平面

複素数平面 complex plane,Gauss plane
実軸 real axis
虚軸 imaginary axis
共役複素数 conjugate
  com(=ともに)+jugare(=つなぐ)
  ベクトルでいえば
  複素数でいえば
つながるってイメージだよな。
絶対値 abslute value
  ab(away) solut(解く、ゆるめる)


共役複素数と絶対値が応用問題を解くときの鍵
解けなきゃすべて x+yi とおく。


(%i1) z:a+b*%i;

Result

共役複素数

(%i2) conjugate(z);

Result

絶対値(complex abs)

(%i3) cabs(z);

Result

和差積商の共役複素数は,共役複素数の和差積商。
%4で複素数を宣言している。
ここで「実係数の(有理)方程式は,共役複素数を解にもつ」の証明をしたいところでしょう。

(%i4) declare([z_1,z_2],complex);

Result

(%i5) conjugate(z_1+z_2);

Result

(%i6) conjugate(z_1-z_2);

Result

(%i7) conjugate(z_1*z_2);

Result

(%i8) conjugate(z_1/z_2);

Result



§2 極形式

極形式 polarform
ちなみに Maxima でも rectform(rectangle(長方形)form) が a+bi
偏角 argument
argument は普通は議論だよな,議論は偏るところから始まるのか!

極形式は cosθ+isinθとかくより e^(iθ) のほうが楽だよな(実は計算も)

ところで最近Geogebraなるソフトが具合が良くて複素数もこれで快調。

注意を書いておくと,数式入力ではiでもいいが,CAS入力ではiは ALT+i 。
CAS入力では 2*pi とか書式が数式入力より厳しい。

(%i9) polarform(1+%i);

Result

(%i10) polarform(3+4*%i);

Result

(%i11) polarform(z);

Result

(%i12) polarform(z_1*z_2);

Result

(%i13) polarform(z_1/z_2);

Result

(%i14) z_1:2*%e^(%pi/3);z_2:sqrt(2)*%e^(%pi/4);

Result

(%i16) z_1*z_2;

Result

(%i17) z_1/z_2;

Result

絶対値と偏角の関係

(%i18) declare([s,t],complex);

Result

(%i19) cabs(s*t);

Result

(%i20) carg(s*t);

Result

 高校では4種類の幾何学(初等,座標を使う解析,ベクトル,そして複素数)を学ぶことになるのだが
複素数を使う利点はなんといっても角度が測れるところだろう。

回転マクロ
xをyの周りにarg回転した複素数

(%i21) rot(x,y,arg):=block(
rectform((x-y)*%e^(arg*%i)+y)
);

Result

(%i22) rot(2-4*%i,0,%pi/6);

Result

(%i23) rot(4+%i,2+3*%i,%pi/3);

Result

GeogebraのCASがどんどんすごくなり,マクロ的なことができればMaximaを起動しなくてもいい感じだ。
下の計算もやらせてみた。Maximaより良い所も。

Csolve[]は複素数の範囲での方程式を解く。

§3 ド・モアブルの定理
ド・モアブルの定理 deMoivre

累乗するのも累乗根を取るのも極形式を意識しなくてもOK

(%i24) expand((1-%i)^6);

Result

(%i25) kill(z);

Result

(%i26) solve(z^6=1,z);

Result

(%i27) solve(z^3=%i,z);

Result

(%i28) rectform(%);

Result

§4 複素数と図形

これが複素数を図形に使う利点
△ABCを調べるために∠CABを測るマクロ。

(%i29) cangle(a,b,c):=block(
z:rectform((c-a)/(b-a)),
return([carg(z),cabs(z)])
);

Result

(%i30) cangle(1,-2+2*%i,2-5*%i);

Result

(%i31) cangle(1-%i,2+%i,2*%i);

Result

直角二等辺三角形

Angleなんて関数がGeogebraにはあるんです。
数Uの図形と式はGeogebraでやり直すか。

(%i32) cangle(-1+%i,1-%i,-sqrt(3)-sqrt(3)*%i);

Result

(%i33) ratsimp(%);

Result

正三角形

以下教科書にはない内容から
§5 ガウス整数

整数の世界ではもうこれ以上分解できない素数が複素数の範囲では分解できるやつもあるぞといいつつ
整数論の復習も兼ねて

(1)2,5を複素数の範囲で因数分解せよ。
2=(1+i)(1-i)
5=(1+2i)(1-2i)

(2) 2以外の素数は 4k+1,4k+3 とかける。
(1)以外の4k+1型の素数2つを2つの平方数の和で表わせ。
13=(2+3i)(2-3i)=2^2+3^2
17=(1+4i)(1-4i)=1^2+4^2

(3) 4k+3型の素数は2つの平方数の和として表せないことを示せ。
 あまりできがよくなかったなあ。

4k+1型の素数は2つの平方数の和として表せる事をいうのは少ししんどい。

§6 円分多項式

(1) x^5=1を解け。
相反方程式です。解けるかな。

(2) cos 72°を求めよ。


x^7=1 は確かに平方根だけで解けない。
相反方程式から t^3+t^2-2t-1=0
x^17=1 は平方根だけで解けるのか,やはり複素数平面はGauss。 inserted by FC2 system